その後は父の会社の社員やら、関係者、どうやって調べたのか私の友人達諸々列席の、それはそれは盛大な披露宴がとり行われて。
私はなぜかめちゃうまなフルコース料理を味わってるところ。

「な、何故こんなことに……」

これも愁也マジック?つうか魔法?ハリポタ的な何か?

「梓、これもあげる。はい、あーん」

不気味なほど上機嫌な愁也に言われるまま、口を開けて、絶品ローストビーフで餌付けされて。
タキシード姿で、悩殺極上スマイルで微笑む彼に、梓パンチを繰り出す間もないまま。

「わかってて、やってるよね……っ!!」

「うん?イヤイヤ、本気で楽しいから」

友人代表で、数々の武勇伝を披露しまくっているマキのスピーチを眺める。

「というわけで私、佐久間マキが二人のキューピットとして力を尽くしたからこそ、今日の二人がある!『マキちゃんありがとう』と梓は感涙にむせび泣いてくれました……」

いや、脚色しすぎだ、マキちゃん。
そこのオッサン、そっと目頭を押さえるな!
……花嫁に全く事前連絡も承諾も無かったとは思えないほど、つつがなく進行してるってのが、未だ最大の謎だわ。


愁也は宣言通り披露宴でも私に迫り続け、居並ぶ男性陣に私の占有権を誇示しまくった。
あまりのベタベタっぷりに女性社員は悲鳴を上げ、

「てめコラ、いい加減に梓から離れろ!!」

と、カイ兄がご乱心した。
新婦から離れろって言われる新郎どこにいるんでしょうか……。

「羨ましいんですか?言っておきますけど、梓のドレス姿は10万円以上の価値がありますからね」

と、愁也が迎え撃つという、なんだか訳分からん状態になったりもしたけど。
透也は私を感慨深げに眺めて。

「梓、綺麗だな。やっぱり今からでも俺にしとかない?」

とかなんとか言って愁也に殴られた。

よ~し、もうなんとでもなれって感じになってきたぞ~。

「……愁也、後で何でも言うこと聞いてもらうからね」

せめてもの抵抗に、ぼそりと呟けば。

愁也はふ、と微笑んで。
テーブルの下で私の手を握った。


「いつも聞いてるだろ。……俺はアンタに弱いんだから」