現実逃避に失敗した私は、責任転嫁をする事にした。
ついでにお腹も空いてきたから、機嫌はどん底だ、八つ当たりしてやる!


「なんで止めないのよ、馬鹿愁也っ!もうお嫁に行けない~っ!」


涙目の私を愁也は一瞥。


「あんたに迫られて断れるわけないだろ。
それにお嫁に行くのは俺んトコなんだから無問題」


……。

凄いセリフを聞いたような。


けど。

よくよく考えて、その言葉にちょっとへこむ。


私に逆らえないって、やっぱり私が社長の娘だからって意味、だよね……。


好きでもないのに、私としちゃうんだ。
私と婚約しちゃうんだ。


……社長の娘が私じゃなくても同じ事、したのかな。
ああそういえば、初対面でキスしやがったな、コイツ。


誰でも、良いのか。


そう思えば、なんだか私はいつの間にか、もやもやした気持ちを抱えていた。