「センセのアパート、ボロボロー。」


「あ?」

「なんでもなーい。」


渋谷からタクシーで15分…普段は自転車らしい。

センセのアパートはちょっと床が軋む小さな住まいだった。


「センセー、お腹減ったー。」

「言いたい放題だな、お前…なんか出すから待ってろ。」


センセはキッチンの方に行った。

センセの姿が見えなくなると、私は部屋をぐるっと見渡した。

見た目はボロだったけど、部屋はきちんと掃除されていた。

折りたたみのテーブルにフカフカクッション、テレビ、カラーボックスが3つ。


部屋がもうひとつあるのに気がついた。


襖で仕切られた部屋の先に、何があるんだろう?


センセの寝室?


私は好奇心でちょっとだけ覗こうとした。