「…どうしても、嫌か?」


「わかんない…」

自分でもわかんない。

私がママを嫌いなのだからか。
それともママが私を遠ざけるからか。


「ほら、飲みなさい。」

センセは自販機でなっちゃんオレンジを買ってくれた。

「ありがと…」

ごくっと飲むとまた涙が出た。
懐かしい味。ママが昔、買って来てくれた…

「パパはもう死んじゃって、ママには男の人が居るの。私はママに当たり散らしたことがあって、ママは今はその男が大事でー…私、帰っても居場所ないょ……」


あの部屋はもう、私の部屋じゃない。


「俺の家…来るか?」

「へ?」


「行くとこ、ないんだろ?族に入られたらこっちも面倒だしな。」

センセはまた、これも二人の秘密、と言って私の手を引いた。