教室に行き、荷物を取ってすぐに家に帰った。


この時間なら、お母さんは仕事で居ないはずだ。


一ヶ月ぶりの家にはコロンの匂いがした…男の。



「パパが可哀想じゃないの?」


伏せてあった写真を反抗するように立て直した。

パパは優しそうに写真の中で微笑んでいた。

パパの記憶はない。
パパの話をママはしない。

私が中学に上がる頃には別の男が出来ていた。

私は自分の貯金箱から数枚のお札を抜き、制服や着替えをバックに入れると、また家を出た。

あの人はきっとその男を私より選ぶのだろう。