「さて、先生は秘密をひとつ喋っちゃったからなー。」

センセは胡坐を書き直して私を見て来た。

給水塔の上は狭くて逃げ場がない。
私は身じろぎせず、先生を見つめ返した。

というか、睨みつけた。


「んだよ。」

「俺だけ喋っちゃったからなー。」


あー、そういう事か。

「入れてないよ……」


入れ墨、まだ入れてないよ。
黒龍、まだ入ってないよ。

センセ、ズルイな。
そんな聞き方しないでよ。


「ん。偉い、偉い。」

センセはまた私の髪をぐしゃぐしゃにした。


「触るなっ!」


センセをキッと見た時には、センセはもう給水塔のハシゴを降りて行く所だった。



「あ、」


思い出したかのようなセンセの声がして、頭だけがヒョコっと覗いた。