「──いつまで手握ってんだよ。離せっ」
「えっ、あ……っ、待って!」
すぐにいつもの、無愛想な感じに戻ったヒサギちゃんは、俺の手を解いて帰路へと歩き出した。
「一緒に帰ろうよ!」
「お前んちはこっちじゃないだろ! ガキじゃあるまいし着いて来んな!」
「ここからはこっちの方が近いんだよ!」
慌てて追い付いて、ヒサギちゃんの隣に並ぶ。
3ヶ月前はこうやって一緒に歩くことなんて出来なかった。
話し掛けても無視されるし、当然会話になんてならなかった。
そんなヒサギちゃんが、俺に笑い掛けてくれた。
今はそれで、十分だ。
fin


