「みぃぃぃぃきぃぃぃぃ」


授業がおわりすぐさま美喜の席にむかう。


「どうした。我が親友よ」


「誰やねん」



えへへっと笑う美喜。
相変わらず可愛いなぁ。そんなに可愛かったら私も自分に自信もてた?



「で、どうした?」


「あっ、そだ!!あのねっ、さっきねっ、あの・・・うんっ、だからねっ、うわぁ・・・」


「間が多い!!はい。淳のことね」


「さすが親友様です・・・」



得意げに美喜が鼻をさすってみせた。
そう。美喜は私が淳を好きな事を唯一、教えた人物だ。
だから、淳のことで何かあるとすぐにそれを報告にいく。
 




・・・・・てことで、さきほど淳が机を触ってくれたことについて報告だ。





「よかったじゃん!!柚奈っ」


「うんっ・・・もう幸せで死んでもいいかも」


「やめれっ」


「嘘、嘘」





チラッと、横目で気付かれないよう淳をみる。
そしてまた勝手にへこむ。





「ぁ。また、淳が綾乃と話してる」




美喜がそうつぶやいて、『しまった』という顔をした。




「いいんだよ。美喜。話しかける勇気がない柚奈が悪いんだからっ」




そういって笑って見せる。


そう。
私は淳と、話したことがない。話せる勇気がない。



ううん。話しちゃいけないの。




【 話したことがない 】




それは、間違い。話したことはある。
いや?たくさん話していた。

でも、【あれ】以来話していないんだ。













淳と私しかしらない。【あれ】以来。