歯を磨き、制服に袖をとおす。
ロングの髪をまき重たい鞄を手にとる。



よろける体。



「いってきます」



誰もいない家にそう言い残し玄関をでた。
両親は両働き。ママは、私が家を出る前にでていく。パパは、私が寝てから帰ってきて・・・・そして寝ている間にでていく。
だから、最近パパにあっていない。きっと、パパも私をしばらく見ていないと思う。
ううん。きっとそうだ。



学校までは徒歩30分。
近場の高校を選んだつもりだったけど、これなら遠いところを選んで電車で行った方が楽だったかな?





「おはよー!柚奈」





後ろからとんっと、体が押される。





「あ、おはよう。美喜」





親友の川原美喜が猫毛のふたつ結びをゆらして立っていた。





「てか・・・柚奈!!こんなに暑いのに長袖とかありえないっ」


「そうかな?そこまで暑くなかったから・・・・」


「いやぁ、あんた。おかしいんじゃないの?ひくわぁぁぁぁ」


「ひかないでよっ、ひどいなぁ」



ひく素振りをする美喜を笑って叩く。
美喜は「うそうそ」と笑った。












本当は、暑い。
暑くないわけない。だって、まだ8月。
それに、今日は30度超。




「あのさ、美喜?骸骨みたいなこの腕を隠すために長袖きてるんだ」






















なんて。死んでもいえるわけないでしょ?