四十九日間のキセキ

「そうですね」

「行ってみましょうか」

三人は紗弥加の病室に向かうが、当の紗弥加はまだ眠っていた。

「まだ寝ているわね、二人ともどうする？」

「仕方ないので今日のところは帰ります。いいよな葵」

隼人が葵に同意を求めると葵も返事をする。

「そうね、寝ているところを起こすわけにもいかないし今日のところは帰りましょう」

「ごめんなさいね」

香織が謝罪の言葉を口にするが、二人は嫌な顔一つしなかった。

「気にしないでください、僕たちも気にしていませんから」

隼人の言葉に葵も続く。

「そうですよおばさん。あたしも全然気にしていません」

「ありがとう二人とも」

「では僕たちはこれで失礼しますね」

「今日は来てくれてありがとう、また来てあげてね」

「もちろんです」

こうして二人は病室を後にした。

　隼人たちが病院を後にしておよそ一時間後、紗弥加はようやく目を覚ました。

「おはよう紗弥加」

「お母さんおはようって、おはようじゃないわよ、もう夕方じゃない」

「そうだったわね。でもあなた良く寝ていたから。望月君と葵ちゃんが来てくれたの知らないでしょ」

思わぬ報告を受けた紗弥加は驚きとともに二人に対し申し訳なさを感じてしまった。