「ご安心ください、今回はわざわざ手術をするまでもないということです」

「それならよかった。だったらこの治療を続ければ治るんですよね?」

「そうですね。可能性は高いと思います」

 この時坂本が治ると言い切ることができなかったのは、本当は手術の必要がないのではなく、手術ができない状態にあったからであった。

「とにかくこのまま抗がん剤を続けて放射線も併用していきましょう」

「分かりました。よろしくお願いします」

紗弥加が言うと、それに続くように紗弥加の両親も坂本にお願いする。

「よろしくお願いします。娘を助けてください」

「全力を尽くします」

そう坂本が応えると病室を後にした。

 数日後、紗弥加の病室を隼人が訪れた。

「どうだ紗弥加具合は」

「隼人いらっしゃい」

笑顔を浮かべ向かい入れる紗弥加に同様に笑顔で返答する隼人。

「いらっしゃいって、まるで自分の家みたいだな?」

「そうじゃないけど、ここも長くなってきたからさ」

「でもいつまでもいる所じゃないだろ?」

「そうだね」

ここで突然部屋の外からある女性の人物が入ってきた。