四十九日間のキセキ

翌日紗弥加のもとに見舞いに行った二人。

「来たぞ紗弥加、どうだ調子の方は」

孝之が尋ねるとそれに礼を言いつつ応える紗弥加。

「今日も来てくれてありがとう二人とも。今日も調子は悪くないわ、いつも通りよ」

ここで孝之は意を決して例の件を紗弥加に伝える。

「なあ紗弥加、昨日言っていたことなんだがあれ先生に聞いてみたんだ」

その言葉にピンときた紗弥加は希望をもって孝之の言葉を聞く。

「なに、もしかして退院の事?」

「そうだ」

「ねえねえいつ退院できるの?」

紗弥加は退院できるかもしれないとの期待を胸に前のめりになるが、その期待は見事に打ち砕かれることとなる。

「すまない紗弥加、退院は出来ないそうなんだ」

孝之の口から発せられた思わぬ言葉に、この時の紗弥加は大きくうな垂れがっかりするしかなかった。

「どうして、あたし退院できるんじゃなかったの、手術して治っているんじゃなかったの?」

「ごめんな紗弥加。あまり治りがよくなくてもう少し抗がん剤を続けなければいけないそうなんだ」

ここで耐えきれずに香織が泣き出してしまった。