「じゃああの子はどうなるんです。もう治らないなんてことないですよね」

「そんなことはありません。娘さんの病気は必ず直してみせます。ですからご安心ください」

そう励ます坂本であったが、この時紗弥加の病気を治せるだけの確信はなかった。すると孝之が静かな声で尋ねる。

「では娘の退院は叶わないということですか」

「申し訳ありませんがそういう事になってしまいますね」

「そうですか仕方ありませんね。先生これからも娘をお願いします」

孝之は坂本に対しこう言うしかなかった。

「どうなさいますか、今回退院できないことわたしの方から説明しましょうか?」

坂本の提案であったが、孝之はその提案を断ってしまう。

「いえ、わたしたちに言わせてください」

「そうですか、ではお願いします。治療計画の都合もあるのでなるべく早くお願いしますね」

「分かりました」

その後両親は肩を落とし病院を後にした。 

家に帰ってからの二人はとても暗く、今回の件をどう紗弥加に伝えたらいいか悩みあぐねていた。