「そりゃ来るに決まっているじゃない、あなたのこと心配だもの」

「だからそれならなるべく実家に近いところに移ったほうがお父さんたちの負担も少ないと思って」

(そうか、この子は小さいころから人のことを思いやれる子だったわね。でもこういうときくらいそんなこと考えなくていいのに) 

そんなことを考えてしまった香織。

「あたしたちのことは考えなくていいのに。とにかくあなたがそういう考えなら主治医の先生にも相談しなくちゃね。なんていう先生なの?」

「秋元先生よ」

「そう、ちょっとナースセンターに行ってくるわね」

そう一言いい残し香織は病室を後にした。 その後ナースセンターに行くと近くにいた看護師に声をかける。

「あのすみません」

「はいなんでしょう?」

「奥村紗弥加の母ですが主治医の秋元先生にご相談があるのですが」

「分かりました連絡してみますね。病室でお待ちになってください」

「分かりました」

そうして病室に戻った香織はそこで秋元医師を待つことにした。

少しの間病室で待っていると秋元医師がやってきた。