「う~んっ。」

お母さんは考えてるようす。

「お母さんさ、中学のとき、先生に恋したの…。十才以上年上だったけど凄くスキで…先生に伝えたら、先生も好きだって言ってくれて…。付き合ってたんだけど、学校にバレちゃって、引き離されたのよ。誰も助けてくれなくて…。立ち直るまでに一年以上かかった。死のうとしたこともあった。そんなときお父さんに出会ったの。お父さんは、あたしを救ってくれたのよ。何も聞かず、ずっと側にいてくれて…。」

「お父さんとの話は余談だけどねっ。まぁ、あたしは今は留里もいて幸せなんだけど、留里に辛い恋はして欲しくないの。でもね、好きな気持ちは誰にも止められないでしょう。自分が辛い思いをしたから、あたしはどんな恋でも留里を応援してあげたいのよ。」

お母さん…。

「ありがとう。」

「だからっ、お礼なんて言われると照れるでしょっ。まぁね、神谷君は、あんたにはもったいないけど…。」

わかってますよっ。

「神谷君も、何故かあんたにベタボレみたいだし、このままうまくいって孫の顔見せて欲しいわっ。」

ウフフっ…。

お母さんっ、お母さんも辛い恋があったんだね。

でも、今がある…。


だからっ、あたしも神谷さんとの今を大事にしたい…。先に何があるのかわからないけど…。後悔しないように……。