「西本!西本美優!!」

誰かが私を呼んでいる。

「西本!」

「ん…はい」

反射的に返事してから顔を上げ、目を擦る。

同時に教卓の上のハゲと目が合った。

どうやらこいつが担任らしい。

入学式直前、点呼を取る教室の中、一人空いた席があった。

私の左隣。

さすがは嵐校。

入学式時点で来ない奴がいるんだ。

「葉山蓮…来てないか」

ハゲがつぶやいた。

葉山蓮っていうのか。机の上に載った書類で漢字がわかった。

この漢字からして男だろう。

このまま葉山が来なければ、私の周りは平和だ。

私の周りの席はたまたま、嵐校にも半分入るちゃんとした子たちばかりだった。