俺は自分の気持ちを止められなくなる前に、ただ「うん」と返事した。
芽悠の笑顔に・・・ドキドキしてしまう。
・・・ずっとその笑顔を俺だけに向けていてくれよ。
「よしっ、じゃあさっさと終わらせよう」
芽悠の言葉で、我に返ったようにハッとする。
「そうだな」
軽く返事して、雑巾を手に取りまた床を拭き始める。
おいおい、今日は考えすぎだぞ、俺。
こんなに芽悠のことばっか考えて・・・・流石に変態の域に入りそうで怖い。
それから下校時間まで、俺たちは一生懸命掃除した。
これまで人生で一番頑張った掃除だったかもしれない。
お互い真剣になっていたら、会話はなく時間だけが進んでいた。
そろそろ下校時間だ・・・。
時計を見てそう思ったとき、誰かが教室に入ってきた。
「あれ、芽悠!まだ掃除してたの?」
「うん、だけどもう終わったよ!」
芽悠と仲良さそうに話しているのは、横岡だ。
高校に入ってから、初めて出来た友達だと芽悠が喜んでいたのを覚えている。

