「はーい」


芽悠はそれ以上何も言わず、黒板消しを手にしてベランダに出る。

少しホッとする。

同じ空間にいれば、なぜか緊張してしまうし・・・余計なことばかり考えているから。


・・・ダメだ、集中して掃除しろ、俺。


「よしっ」



小さな声でそう言って、雑巾を手に床を拭く。


その時外から芽悠の咳込んだ声が聞こえて、慌てて立ち上がる。


どうしたんだ・・・?


近くに行ってみると、汚れたとか言って肩を落としている芽悠が目に入る。



「大丈夫か?」



俺がそう言うと、芽悠は驚いた顔をしてこちらを向いた。



「うわっ・・・・びっくりした・・・」