その時・・・私の目についてしまった流生の肩。
「流生・・・!ありがとう・・」
・・・・・流生の肩・・・・濡れてる・・。
もしかして・・・私が濡れないように・・・。
私は申し訳ない気持ちを込めて、そう言った。
流生は私が自分の肩を見てそう言ったことに気づいたのか、
「気にすんな」とだけ言うとそのまま自分の家の方へと歩いて行った。
少しずつ小さくなるその背中を見つめながら・・・もう一度呟いていた。
「ありがとう・・・」
私と触れていなかった方の流生の肩はびしょびしょで・・・腕も濡れていた。
今時こんな少女漫画みたいなことあるんだろうかって、ちょっとびっくりしたけれど。
だけどこれが・・・流生の優しさなんだ。
流生がぶつかってきた時から、私はずっと濡れていなかった。
濡れないように、風邪を引かないようにって・・・・・元気がないのも心配してくれて・・・・。
私は胸の奥に引っかかったモヤモヤした何かを振り払うように、急いで家の中に入ったのだった。

