「でもこんな土砂降りの中走って・・・城咲が無事に帰れる気がしないんだけど?」
流生は滝のように激しく降る雨を見ながら言った。
いつもどこか抜けていてドジな私が、こんな雨の中を走って転げない訳が無いことを流生は知っている。
「えーと・・・」
「はいはい。それ以上言わなくていいから素直に入れって」
流生はそう言うと、外に出て傘を広げた。
「ほら、来いよ」
彼は笑って私の方を見た。
・・・これは、入れてもらうしかなさそうだ。
濡れるのも嫌だし・・・・。
私は駆け足で流生の傘の中に入ると、「ありがとう」と言って笑った。

