なんて言えばいいのか分からずに・・・・ただ口が開いては閉じる。
彼女の瞳は・・・・透き通るように綺麗で、俺は目が離せないままだった。
「佐野のこと・・・・好きなの?」
こんな時にも遠まわしにしか言えない自分が悔しい。
なんで佐野とキスしてたんだって・・・・・
お前は誰が好きなのって・・・・
_____聞きたいのに。
「なん・・・・で・・・・。なんでそんなこと聞くの?」
怒りと切なさとが入り混じった声が、大きく廊下に響いて・・・・大粒の涙が・・・・・彼女の綺麗な瞳から零れ落ちた。
なんで・・・・・・泣いてんだよ。
俺がお前を泣かせたの?
「・・・好きって・・・・言ってくれたのに。
なのにさっきは真奈美とキスしてて・・・・・」
苦しそうに言う彼女の言葉に、息を呑む。
哀しみに顔を歪めている彼女の頬からポロポロと零れ落ちていく涙を・・・ただ見ていることしかできない。
横岡と・・・・キスしたの・・・・見てたのか?
衝撃と驚きが同時に迫ってきて、痛みとなって胸を苦しめる。
「なんでそんな思わせぶりなことするの?
私のこと何とも思ってないのにそんなこと聞かないでよ!」
・・・・・・芽悠・・・・。
勢いに任せて発せられた彼女の声は、俺たち以外に誰もいなくなった校舎に響き渡って・・・・ただ頭に残ったその音が全身を痺れさせていく。
その時初めて、気がついた。
俺が・・・・・・・・どれだけ自分勝手なことばかりしていたか。