「・・・・・ゆ・・・。・・・・・芽悠・・・」
唇が震えて、まとも声が出ない。
あぁー・・・・俺は・・・・本当に、
情けない。
すっげぇ、情けなくて・・・・・弱くて、男らしいとこなんて一つもない。
だけど、俺は・・・・。
俺は、
お前が好きって気持ちは誰にも負けない。
「芽悠」
澄んだ声が、廊下に響いた。
震えていた唇を、強く噛み締める。
俺がなんて言えば、お前は俺の気持ちを信じてくれるんだろう。
俺が・・・・・何度言えば・・・・・
俺の気持ち全部、伝わるんだろう。
ピクッと小さく震えた体が佐野から離れて、ゆっくりとこちらを向く彼女の顔が、俺を見た途端に大きく目を見開いて小さく口を開く。
佐野も俺の方を向いて俺と目が合うと・・・・・視線を落として伏せ目がちに俯いた。

