教室の中で動いている人影を見て、そのまま勢いよく中へ駆け込む。
「・・・ぁ・・・爽太くん?」
思ったとおり、その声は横岡のもので。
肩で息をしながら、目の前にやってきた彼女を見つめる。
真っ赤な唇が不気味に弧を描いて微笑む。
「お前・・・・・芽悠の気持ち知ってて、俺にキスしたの・・・?」
冷たく言い放たれた言葉に、何事もなかったかのように微笑んだままの彼女。
「そうだけど・・・・どうかした?」
口元は笑ってるのに・・・・・目が、笑ってない。
全身に鳥肌が立つような感覚を覚えると同時に、目の前の彼女に・・・・疑問を抱いた。
「・・・お前は・・・・それで幸せなの?」
人の大切な人を奪うことで何を感じるのか・・・そんなことは知らない。
けれど・・・・そんなことをしてまで・・・・
____それほどまでして彼女が手に入れたいものは・・・・・何なんだろう。

