「えっ・・・何言ってんの・・・」
急に可愛いと言い出した流生を見ないように、持っていた下敷きで顔を隠す芽悠。
だけど、芽悠の頬が赤く染まっていくのを俺はしっかりと見ていた。
・・・・見なければ良かった・・・。
俺の中に込み上げてくる何かが・・・酷く胸を締め付ける。
芽悠の・・・照れた顔。
そうだ、この表情を見せるのは俺だけじゃない。
「そのままの意味だけど?」
面白そうに笑った流生を見て、少し腹が立つ。
俺だけに・・・その顔を見せてくれればいいのに・・・。
なんで流生にも・・・そんな顔見せるんだよ・・・。
俺だけのものにできればいいのに・・・・・。
・・・・なに妬いてんだよ・・・。
・・・・・馬鹿だな。
自分でそう思いながらも、何も言えなくてただ見ていることしかできない。
「からかわないでくださいー」
そうやって笑い合う二人を見ているのは・・・やっぱり俺にはできない。
俺は立ち上がり、無理やり笑顔を作った。
「俺、掃除行くわ」
すぐに教室から出ると、何も考えないように、深呼吸した。

