「支度、そろそろ始めなさい」


「まだ早いだろ」


「まぁな。けど、使わないものは先に向こうに送っておけばいいんだから」



父さんは俺の部屋のドアの前まできて、ゆっくりと言い聞かせるような声で言った。



「少しずつでも、準備を進めないとな」


「分かったから」



もう、分かったから・・・・ほっといてくれよ。

そんな言葉を飲み込んで、俺は黙ったままベットに倒れ込んだ。

父さんの足音が遠ざかっていく音が聞こえて、大きなため息を吐く。