もう涙を、拭わなかった。
ただ、目の前の先生を見つめていた。
先生の上着の裾をぎゅっと掴んで、引き寄せる。
先生は私の涙を両手の親指で優しく拭った。
切なげな瞳で、私を見つめる先生。
溢れ出す涙は、もう止まらなかった。
「キス・・・・・して・・・」
私がそう言うと・・・・先生は何も言わずに、私の目を見た。
優しい瞳。
切なげで、哀しげで・・・儚い。
先生はゆっくりと愛おしげに、私の頭を優しく撫でた。
その手をするりと滑らせて、私の頬にそっと触れる。
トクン、と小さく心臓が音を立てる。
もう片方の腕を私の頭の上の壁に当てて・・・先生は私に覆い被さるような体勢になった。
私は身を任せるように壁に寄りかかり、先生の瞳を見つめる。

