私は先生の上着の裾を掴んでいた手に、ぐっと力を込めた。 数秒経ったとき。 何も起こらなくて、ゆっくりと・・・・・・目を開ける。 先生は体を屈めて、私の目の前に自分の顔を持ってきたまま、切なげに私を見ていた。 「出来ないね」 私の瞳を見つめて、そう言った先生。 そして、ふっと・・・優しく微笑んだ。 「好きじゃない人と、キス・・・・・出来ないね」 先生はそう言うと私の頬から手を離して優しく私の頭を撫でた。