太陽と星 ~君と過ごした最後の夏~

言えなかった。


今日もまた・・・・渡せなかった。


目線を下げて、カバンを見る。


カバンに入ったままの体操服。

動かなくなった、体。


世界が止まってしまったように、色が消えていく。


ぐらぐらと崩れていく何かが、芽悠との記憶も消し去ってしまいそうだった。


全てが、壊れていきそうだった。


自分の中が空っぽになってしまったように、何も感じない。


重い瞼を、ゆっくりと閉じる。

視界が暗闇で覆われる。


じわりと額に汗が滲んで、体が熱を持つ。

何処からかスーッと吹いた風に、鳥肌が立った。



俺は・・・・どうすりゃ・・・・いいんだよ・・・・。