「えーと、夏休みには補習があるからなー。
夏休みをエンジョイしたいならこの期末テストは気合入れて頑張るように。
赤点取っても、俺と一対一で補習できるから楽しみにしとけよ」


佐野の大きな声にハッとして顔を上げる。


ボーッとしていた意識が研ぎ澄まされ、顔を隠すように下を向くと、肘をついたまま額に拳を当てる。


そしてゆっくりと・・・目を閉じた。



「じゃあ、部活では熱中症に気をつけて水分補給をしっかりするように。以上!」



佐野の大きな声も、周りの雑踏も・・・・・今は何も聞こえない。


じっとりとした空気。

あまり風が吹かなくて、暑い。



俺はちゃんと・・・・・言わないといけない。

伝えないと・・・いけない。

彼女に。