段々と速くなる足。下を向いたまま、階段を下りようとした・・・その時。


__パシッ



手首を掴まれて、ビクッと飛び跳ねるように動いた体は、電流が流れたように痺れていく。



「・・・待って・・・」



間違いなく・・・爽太の声だ・・・。


切ない爽太の声が、頭の中で何度もリピートされる。



あなたは・・・一体誰のことが好きなの・・・?



真奈美?それとも・・・他の女子?



その中に・・・私という選択肢は・・ある?



真奈美と・・・キスしたって・・・・本当?



それならなんで・・・あの日、爽太は私の家に来たのに・・・何も言わなかったの?



自然と溜まっていく涙に、切なさや、寂しさや、悲しみや怒り・・・全てが詰め込まれる。


この涙が落ちたとき・・・全て忘れられる?