彼女を追おうとする体とは裏腹に、"やめろ"という自制心が俺を引き止める。


自制心なんかじゃない・・・・・。


追いかけて・・・・彼女を引き留めて・・・・また傷つけるのが怖いんだろ。



自分自身が傷つくのが・・・・・・・


怖いんだろ。



ぐっと爪が食い込むほど強く握られた拳で、自分を殴りたかった。

彼女を傷つけたくせに、余計に傷つけるのが怖くて追いかけられなかった自分を、何度も何度も殴ってやりたかった。



「・・・・・・・お前・・・・・やっぱり・・・」



その時、震えた流生の声が聞こえた。


流生の表情には、ただ俺に対する怒りしかなかった。


力のこもった瞳と、怒りで覆われた表情。