いつの間にか、俺は階段を駆け下りていた。
嫌だ、嫌だ・・・・・・嫌だ・・・・。
何も見たくない、考えたくない・・・・。
二人が相合傘をして歩く姿を見たあの日から、自分の目で何かを見て傷つくことを、恐れていた。
傷つきたくなかった。
自分の目で見てしまったら・・・・現実を受け入れてしまったようで、嫌だった。
芽悠が俺から離れて行ったことを、受け入れてしまいそうで怖かった。
もう隣にいないことを・・・・当たり前にしてしまう自分が・・・・怖かった。
奥歯を噛み締めて、ただ走る。
更衣室に向かって、ただ足を進める。
止まらずに、振り向かずに・・・・・・。

