手首を掴もうと伸ばした手を、自分の方へ引き戻し、ぐっと握り締めた。 掴みたかった何かが、するりと指の間から抜けていく。 まるで泡を掴もうとしているかのように、手の中のものは触れることすら出来ず・・・指の間をすり抜け、消えていく。 水の中でもがき苦しみ、深く、暗いところへ沈んでいくような感覚。 ・・・・・そっか・・・・・お前はもう・・・・。 ____俺の隣にはいないんだ 喉元が締め上げられたように、呼吸が苦しくなっていく。