私たちは次の授業に遅れないように階段を上る。

けれどそう簡単に足は進まない。



そんな私を見て、流生が急に私の手を握る。

びっくりしたけれど、その手は優しく引っ張られる。



今はきっと、この手を握っていないと逃げ出してしまう・・・。


私は深く息を吸い込んだ。




教室の前まで来ると誰にも見られないように離された手に、まだ少し熱が残っている。


自分の席が近い教室の後ろのドアから入る。


もうすぐ授業が始まるというのに相変わらず騒がしい教室。


私たちが入って来たのに気づいたのは、多分爽太と真奈美だけ。


・・・・あっ・・・・。


入るとすぐに、爽太と目が合う。


私はどうすればいいかよく分からなくて、すぐに目を逸らした。