周りを見渡してみるけれど、流生以外の誰もいなくて・・・どうすればいいか分からない。



「あ、センセは病院行ったよ・・・。朝練で熱中症で倒れた奴いたみたいで」



そうなんだ・・・。


だけど何で・・・流生がここに居るの?


そう思って流生を見ると、流生は私の考えていたことが分かったようで笑って言った。



「体調悪くて保健室に行こうと思ったらたまたまセンセと会って、留守番頼まれたんだよ。
多分もうすぐ帰ってくるよ」


その流生の言葉を聞いて、私も少し可笑しくて笑ってしまう。



「流生はどうせサボりでしょ?」

「あっ、バレた?」



もう、そこにいたのはいつも通りの流生。


だけど流生は、またさっきのように優しく微笑んだ。




「そうやって・・・笑っとけ。泣いてもいいけど、それは俺の前だけにしろよ」




大きな手が、私の頭の上に乗る。



きっと・・・流生の前じゃないとこんなに泣いてなかったよ。



流生じゃない人の前なら・・・きっと涙は溢れてなかった。