太陽と星 ~君と過ごした最後の夏~

急いで席を立ち、重い足取りで教室を出ようとする。


「あ、おはよう芽悠」



・・・・爽太・・・・・・。

こんな時にやってくる・・・タイミングの悪すぎる彼。


顔を見た瞬間、自然と目が見開いて・・・彼から大げさに逸らされる視線。


全身が大きく波打つように、心臓がドクンと跳ねた。

また、手が震える。


止まらない・・・。



「あっ、爽太くん!おはよう!」



後ろから真奈美の声が聞こえた瞬間、全身が切りつけられるような気がした。


耐えられないほどの強烈な痛みがジンジンと全身に広がって、倒れそうになる。


ぐらぐらと揺れるような感覚に、吐き気までしてくる。



ダメだ・・・もう・・・無理。


この空間が、息苦しくて・・・たまらない。

ここに・・・居たくない。


真奈美の顔も・・・爽太の顔も・・・見たくない。



会いたかった人が、会いたくない人に変わる。



私は足を止めることなく、何も言わずに教室を出る。




廊下へ出ると、急いで階段を降りて保健室まで行き、二つあるうちの奥のベッドに座った。



職員室で会議でもしているのか、先生はいないから少しホッとした。