永いキスのあと…茜、君の眼はあの時の暗く沈んだ眼だった。
けど…やっと茜の心を解き放てられたと思った。

僕は静かに話始めた。

「茜、話せるなら話してほしい。どんなことでも受け止める。必ず。」

「…。」

「俺じゃダメなのか??茜は、俺を必要としてくれた。その事に俺なりに答えを出してみたんだ。」

「武内君。好き。」
「武内君の優しさに触れれば触れるほど私の心が剥き出しにされちゃって、どうしていいのかわからなくて…。それでも好きな気持ちだけは変わらないの…。」

僕は思わず茜を思い切り抱きしめた。
「だったら…これからは俺が君を護るだから一緒に歩いていこう。」

「ありがとう。私、武内君と逢ってから何か変わったみたい。」
「あのね武内君、一つだけ聞いてほしい事があるんだけど…いいかな??」

「いいよ。」
後で僕は自分が軽々しく言った、「いいよ」という言葉を今でも後悔している。それは15歳の幼い自分が抱えられるほど簡単な事ではなかった。

彼女は、淡々と話始めた。
「武内君、私を知ろうとしてくれてありがとう。私もちゃんと向き合うからね。」
「私、武内君と逢う前の14歳ぐらいから病気時は闘ってるんだ。詳しいことは今は言えないんだけど、こんな私でも…武内君の彼女にしてもらえますか??」
心なしか茜の眼が明るくなった気がした。
僕は笑顔で答えた。
「僕は茜が好きなんだ。だから何でも二人で乗り越えていこう。」

茜は笑った。いつもより眩しい笑顔で。

それから僕たちは毎日逢っていた。
茜の家の前で抱き合いキスをした。
茜の両親がいない時は、いけない事もした…プールの時間に見ていたが、胸は周りの子より大きく、陸上部だったから、落とすとこはしっかり落ちていた。
お互いの体温を共有出来るあの時は心も満たされていた。
一緒にいる時はお互いに身体を求め続けた。

そんな毎日が1年ほど続いた。
僕は少し背が高くなり、茜は女性っぽくなってきた。

二人とも同じ高校に通った。僕の気のせいかもしれないが茜は、少しずつ痩せてきたような気がした。
僕は茜に聞くことにした。