「あぁ、コレね。何て言うか…その…転けちゃって」




嘘だ。


転けただけではそこまでの数は出来ない。


何があったかは魔法で知ることができる。


けれどファインの口から教えて欲しい。




「……教えなきゃダメ?」


「ダメ」


「わかったよ……」




ひとつ溜め息をついて私を真っ直ぐ見る。


不意にドキッとしてしまう自分がいた。




「皆に、いじめられちゃってるんだ……異端児って」




異端児?


ファインのどこが異端児?




「ここら辺の皆、金髪碧眼なんだ。ほら、僕黒じゃん?だからさ」


「綺麗な紫がかった黒、私は好きだぞ。真紫の目だって不思議な感じで良い」




無意識に出た言葉。


嘘のない言葉。


こんな言葉はどれくらいファインに届くかわからないけど。




「ファン、ありがとう」




優しく笑うファイン。




「僕、ちゃんと皆と向き合ってみる」


「…大丈夫か?」




大丈夫、と笑顔を向けて出ていった。


もう、帰ってこないのかな。


皆と和解して、ここに来なくなるのかな。