桜の約束





「じゃあ、少し診せてもらいますね。
桜さん。あなたの名前は?」



先生は、私に視線を合わせると幾つかの質問を始めた。



「淡井 桜です」


「うん。それじゃ、ここが何処かわかるかな?」



「病院、ですよね」


「うん、正解。
じゃあ、なんでここに運ばれたかはわかる?」


「事故にあったから、ですか?」



「そうだよ。次は…お母さんのことは、わかる?」



「はい」


「うんうん。えっとー…今、何年生かな?」


「今…?」



言葉に詰まる。



「私は…」


今、何年生だっけ…。


小学校を卒業…した…と思う。


あれ?した?


私…今、何年生なの…?



「君は今、中学2年生、なんだけど…分からないかな?」



言われてみれば、そんな気もする…。



けれど、確実にそうだと言えない。



小学校を卒業したのは、なんとなく覚えている。



でも、入学式は?



中学に入ったなら、入学式があるよね?



でも、覚えてない。



「んー…野上くんのことは、わかる?」



さっきも、野上くん自身に確認させられたのに、なぜ先生にまで…。

そうは思うけど、答える。



「知りません」



「ふむふむ…」



その後、2、3個の質問に答えた。