「桜…!」
病室の扉から、私を呼ぶ声が聞こえた。
落ち着いた雰囲気の、少し低い男の声。
男…とはいえ、まだ年齢的には私と同じぐらい…いや、少し上?
考えながら、寝転んだままだった身体を起こした。
自分の身体じゃないかの様に、少し重たい。
そして、体の節々が痛かった。
気にせずに、身体を起こす。
少年と呼べるぐらいの年だと思う彼は、大股で私に近づいてきた。
足早に近づくと、腰をかがめて私に視線を合わし、顔を覗き込んできた。
「目が、覚めたのか!
痛いところは、ないか?
大丈夫か?」
心配そうに、早口でまくし立てる。
心配そうな顔だけど、私が起きたことに喜んでいるらしい。
でも、何故…?
「あなた…誰、ですか?」
私は、あなたなんて知らないのに。
知らない他人のことを、何故そんなにも心配するの…?
私の言葉に、彼は目を見開いた。
眉を寄せ、顔が険しくなる。
「えっと…今なんて?」
がんばって落ち着こうとしているのだろう。
わからないけど。
声が少し、震えていた。


