「かわいい…」
さっきの様なかわいい、ではなく噛みしめる様な可愛い。
そう言って手に取ったのは、桜がモチーフの指輪だった。
太めのリングに、桜の花びらが彫ってあるような。
桜がはめると、丁度左手の薬指にピッタリ合うサイズだった様だ。
「欲しいの?」
「え、あ…ううん」
さみしそうに笑って、棚に戻そうとする桜から、指輪を抜き取った。
「桜、俺が買うよ。
…えっと…友達記念?」
俺が買う、って言った瞬間に指輪を俺から取ろうとする桜を止めて、理由をこじつける。
桜と同じ名前の花。
それがモチーフのこの指輪は、桜が欲しいと言っているから、と言うよりも俺が買いたかった。
値段は…1,980円。
指輪の相場は知らないけど、宝石店からすれば安い。
雑貨屋、と言うことを考えればこんなもんだろう、と言う値段だ。
桜の制止を聞かずに、レジに持って行って買った。
「桜、はいどうぞ」


