「ほんとは空いてるだろ?早く来い!」
『エー。何ノコトカワカラナイナァ』
段々イラっとくる。
「…お、ま、え、なぁ…」
『うんうん、怒ってもらっても構わないんだけどねぇ。
今日はとりあえず、2人で楽しんでおいでよ』
プツッ…ツー…ツー…
「切れた…自分の言いたいことだけ言って切りやがったあいつ」
「亜美の方は、かけても繋がらないみたい…」
俺が十夜にかけている間に、桜は亜美にかけていてくれたようだ。
…亜美は嘘が下手な上、信じすぎる桜の素直さが好きだから、罪悪感があるんだろう。
「はぁ…」
あいつらに、まんまとしてやられた感があるんだが。
「きょ、今日はもうやめておこうか」
俺の深々としたため息を聞いて、遠慮しているのか、桜がそんなことを言い出す。
「いや。行くに決まってるだろ」
元々十夜と亜美に乗せられて、の予定だけど、この日を楽しみにしていた、というのは少なからずある。
「ほら、行くぞ」
手を出せば、躊躇いながらも俺の手に自分の手を重ねる。
その手を引いて、俺たちは桜の木から離れた。


