「失礼します」

今、俺が立っているのは理事長の部屋。まず理事長に挨拶しなければならないらしい。
ちなみに弟は新入生だから必要ないらしく俺だけ、というわけで挨拶にきたのだが…。



カッカッ!カツンッ!!!



「やあ!!!よくきたね!!!!!!!」




何で理事長が上半身裸ででタップダンス踊っているんだ__。


「どうした私の踊りの素晴らしさに声も出ないのか!」

「まぁ…ある意味そうですね」

「ハハハ!そうだろう!私は伊勢海老旨雄、理事長だよろしく!!!」


どうやらだいぶぶっ飛んだ学園に来てしまったようだ。今すぐ帰りたい。

それからしばらく理事長のタップダンスを見ながら学校の説明を受けたが、後半の方は息がきれて聞こえづらかった。何度も思ったがやっぱり帰りたい。


「まぁ…そういうわけだゼェゼェ…楽しい学園生活を送りなさいゴホッ…」

「は、はぁ…」

だいぶ疲れているようだが、こっちも別の意味で疲れた、しばらく理事長が夢に出てきそうだ。

理事長室を出ると若い先生が立っていた。


「響君だよね?」

「あ、はい」

「タップダンス見せられたでしょ?お疲れ様~」


見るからに新米教師って感じだし、口ぶりからするとおそらくこの先生もタップダンス見せられたのであろう。もしかするとアレは理事長なりの歓迎なのだろうか?


「あ、僕は三ツ谷俊介、数学の先生ですよろしくね、案内役まかされてるんだ。そろそろ行こうか」

「あっ…はい」


先生もぶっ飛んでるのかと思ったら普通の人だ、良かった。
教室に行くまで今年から先生になったとか、理事長には最初はおどろいたとか色々話してくれた。
人懐っこい笑顔が特徴的で話しやすいしきっと生徒には人気がでるだろう。