弟にせかされながら支度をし家をでた。

俺達兄弟は転校生、小学校までこの地に住んでいたが、小学校卒業とともに転校、そして高1の最後の月にここにまた戻ることになり、新学期に似合わせて引っ越してきたのだ。
小学校の頃の知り合いに会えないかとわくわくしている反面正直気が重い部分もある。

俺、伊藤響には特にこれといって長所があるわけでもないが…一つだけ…。


“何故か男にモテる”


この長所なのか短所なのかわからないものは小学校の時から今まで変わらない。
同級生(男)に告白されるし電車でセクハラ(男に)されるし。さらにまだまだある。
それが今から通うことになる学校に対しての不安しか生み出してくれない。

なぜなら俺達が通うことになる学校、「伊勢海老学園」は男子校だからだ。

「はぁ…」
電車に乗っている間も降りて学校に向かう間もため息を何度かついた。
せめて弟が同じクラスなら少しは気が晴れるが弟は一年生、俺は二年生だ。

あぁ、今すぐ帰りたい…。

そんなこんなでぐるぐる考えるうちに伊勢海老学園の前についてしまった。
一度下見として来たがやはり大きい学校だ。ちなみに弟は新入生だが俺は転校生として学年の人に挨拶させられる。

めんどくさいし不安すぎる。

「兄さんため息ついてても変わんないよ?ほらいこう」

「…うん」

不安を抱えながらも学園の校門をくぐる。


どうか普通の学園生活を送れますように…!