「へぇ…そんなことがあったの」



わたしの親友宮本夏希(ミヤモトナツキ)は、事前に机の上に配布されれいた教科書をペラペラめくりながら言った。



「うわああん。わたしもう恥ずかしくて生きていけないよぉ…」



今から約2時間前。わたしは天使、いや、悪魔のような笑顔をするイケメンに、お姫様だっこをされたまま学校に担ぎ込まれるという、前代未聞の事態におかされました。



結局あの後、保健室の前まで連れていってもらい、あの少年は入学式が行われている体育館へと急いで走っていった。



「そういえば、お礼言えなかったなぁ」



ひとり言のつもりだったが夏希に聞こえたらしく、



「ええ?!鈴香まだお礼も言ってないの?!」



と、鼓膜が張り裂けそうなぐらい大きな声で言われました。



そ、そうだよ…、実はまだ言えてないんです。