「ここで夏希に出会えてよかったよぉっ」



夏希に思いっきり抱きつく。我ながら単純なのです。



「はいはい、よしよし。まあ、ほんとは桐島に頼まれただけなんだけどね」



へ…?希輝くん?



「希輝くんが夏希に?」



「そう。入学式の日の夜に桐島から電話かかってきてさ、鈴香を俺んとこの召使いにしたって。はあ?って思ったわよ。その後、鈴香ひとりじゃ不安だろうから、あたしも一緒に来てくれないかって言われたの」



「ふ〜ん…」



希輝くん、もしかしてわたしのためにかな…?ん…?意外といい人?



「ほんと迷惑。断ってやろうかと思ったけど、鈴香があいつのそばにいるなんて心配で見てらんなくって来た」



「うぅ、夏希、だいすきっ!!」



わたしはまた夏希にギュッと抱きついた。