王子様の召使い?!

ようやく唇を離してくれた。はあはあと呼吸を整えるのに必死なわたしに対して、余裕そうな顔の桐島くん。



「顔真っ赤じゃん。そんなに嬉しかった?俺とのキス」



「ち、違うっ!ふざけないでよ!それに、いきなりキスなんてしないでっ…」



恥ずかしさと怒りで頭が爆発しそうだ。この人の言ってることとやってることが理解できない。



わたしは俯く。桐島くんもなにも話さなくなった。



部屋に気まずい沈黙が流れる。気まずい。実に気まずい。ほんと、なんでわたしがこんなめに…



「…じゃあ、もうしない」



先に口を開いたのは桐島くんだった。しかも意外な返事。おっと思い、顔を上げる。



―――ビクッ。



目に写ったのは、あの悪魔の笑顔をした桐島くんだった。