王子様の召使い?!

天使の笑顔とは裏腹に悪魔の笑顔をもつあの桐島くんに、この薄暗い廊下の奥にある教室に呼び出されている。しかもふたりっきりなのだ。



うわあ。そうだよ。ただでさえ男子は苦手なのに…!お礼は言いたいけどふたりっきりだなんて…!



わたしは怖くてドアを開けることができず、床にしゃがみ込んでいた。



このまま逃げ出したいな…。でもそんなことしたら夏希、絶対怒るよなあ。ふはぁ。



―――ガチャッ。



あれから何分たっただろうか、いきなりドアが開く音がした。



顔を上げようとした瞬間―――



声をあげるひまもないほどに素早く、誰かに腕を引っ張られた。



「?!」



突然過ぎて、何が起きたのか分からない。