王子様の召使い?!

うぅ、うるさい…!だってほんとに知らないんだもん…!



「あ、そっかそっか!あんたが知らないのも無理はないか。あいつ、桐島希輝(キリシマヒカル)は、入学式のときに新入生代表でスピーチした人だよ。まったく、ちょっと顔がいいからって。まあ、あのスピーチは堂々としててすごかったけどっ」



え、ええええ!めったに男を良く言わない夏希が男を褒めるなんて!珍しいこともあるものだ…。



「スピーチが終わったあとのみんなの反応はそれはそれはずばらしかったよ。ほら、うちの学校全体的に女子が多いでしょ?桐島は中等部から上がってきた人だからもともとファンの子が多いわけで。もちろん先輩たちからもね。で、あのスピーチのときに高等部から来た子達も一気にあいつの笑顔にやられたってわけ。はぁ、情けない」



そ、そうなんだ…。なんかすごい有名な人なんだ…!



「あたしが聞いたのは、容姿だけじゃなく、頭脳明晰スポーツ万能スタイル抜群おまけに王子様みたいなやさしい性格。あと、あの桐島財閥の跡取り息子なんだってことぐらいかな~。モテるのも無理はないね」



そ、そそそそうなんだ…!なんかすごいすごいわたしの想像を遥かに上回る有名な人なんだ!!わたしとは無縁なお方だ~~っ!!



「あっ!鈴香もせっかくだから今のうちに顔見ときなよ!案外惚れちゃったりして~っ」



そう言うと、夏希はわたしの腕をグイッと引っ張り、桐島くんの近くへ連れていった。