王子様の召使い?!

希輝くんに腕をガシッと掴まれた。わたしは引きずられるようにして希輝くんを追う。



あれ、なんだか怒ってる?



希輝くんの横顔が、いつもより険しい。



「ねえ、痛いよっ」



わたしの腕を掴む力があまりにも強いので、大きな声で希輝くんを呼び止めた。けれど、希輝くんはわたしの声を無視して早々と歩く。



なんなのよ、もう。



希輝くんの部屋に着くと、ドアを開けるなり強引に部屋の中に押し込まれた。



「―――っ!!」



ドンッと勢いよく壁に押さえつけられる。両手は頭の上で希輝くんの右手に固定されてしまい、身動きがとれない。



目の前には怒った表情の希輝くん。その目は恐ろしいほどに、鋭かった。